人事評価ってのは、魂の採点表じゃない


俺が「人事評価」って言葉を聞くと、いつも心のどこかでギターの弦がビリッと鳴るんだ。
なぜって? 評価ってやつは、会社の血流そのものだからだ。
音楽で言えばテンポ、リズム、グルーヴ。これがズレたら、どんな名曲だって台無しになる。
人事評価が機能していない組織は、いわばリズム隊がバラバラなバンドと同じ。
ボーカルがどれだけシャウトしても、ギターがどれだけ泣いても、全体はただのノイズになる。

目次

■ 評価制度は「楽譜」だ。感情論じゃ演奏できない。

昭和の頃の人事評価ってのは、どこか「情」の世界だった。
上司が「アイツはよく頑張ってるからA」「ちょっと元気ないからB」なんて、
まるで飲み屋のノリで査定してた時代もあった。
だが、令和の今は違う。AIもデータもある。
それでも評価の世界は、まだ人間の主観と感情に左右されがちだ。
だからこそ、俺は言いたい。

評価とは“納得感の設計”だ。

制度をつくるのは簡単だ。だが、「納得させる」のは難しい。
人間はロボットじゃない。数字だけで心は動かない。
だから評価制度の本質は、“測ること”より“伝えること”にある。
その伝え方を支えるのが、HRMのフレームワークだ。


■ HRMで使える主要フレームワークのステージセット

HRM(Human Resource Management)の世界では、人事評価を支えるいくつかの名曲がある。
たとえば――

1. MBO(Management by Objectives:目標による管理)

ドラッカーが広めたこの古典は、まるでクラシックロックみたいな存在だ。
「上司と部下が共に目標を定め、その達成度で評価する」。
シンプルだが、最も難しいのは“目標の立て方”だ。
定性的すぎても感情論になるし、定量的すぎても機械的になる。
MBOの極意は、**“SMARTの法則”**にある。

  • S(Specific):具体的であること
  • M(Measurable):測定可能であること
  • A(Achievable):達成可能であること
  • R(Relevant):組織目標と関連していること
  • T(Time-bound):期限があること

これが整えば、評価の「曲構成」が見えてくる。
MBOは目標を「譜面化」するツールなんだ。
演奏者(社員)が自由にアドリブできるのも、土台のコード進行がしっかりしてるからこそ。


2. コンピテンシー評価(Competency Evaluation)

これは「行動の音色」を測るフレームワークだ。
業績だけじゃなく、“どんな行動を取ったか”を見ていく。
営業なら「顧客との信頼関係構築力」、開発なら「課題解決の創造性」。
要するに「どんなプレイスタイルで成果を出したか」ってこと。

この手法がロックなのは、単なる数字じゃなく、
「その人らしさ」や「価値観の発露」を評価できる点だ。
ただし、組織全体で定義をそろえないと混乱する。
ギターの音作りみたいなもんで、各メンバーが勝手に歪ませすぎると、音が濁る。


3. 360度評価(Multi Source Feedback)

これも近年よくHRMシステムに組み込まれてる。
上司・同僚・部下・他部署、時には取引先までがフィードバックする。
つまり「バンド全員の耳でミックスチェック」するようなものだ。
自己評価だけじゃなく、他者評価が入ることで、音のバランスが見えてくる。

ただ、360度評価には注意点もある。
人間関係の温度が高すぎると、評価が“仲良しサウンド”になりやすい。
「嫌われたくない」「角を立てたくない」というノイズが混ざる。
だからこそ、匿名性の確保とフィードバックのトレーニングが大事だ。
この制度は、心理的安全性が確保されていなければ機能しない。


4. OKR(Objectives and Key Results)

Googleなどが導入したことで話題になったが、
実はこれ、MBOの進化系メタルバンドみたいな存在だ。
OKRでは、「組織の目標(O)」と「重要成果(KR)」を透明に共有する。
全員が同じステージで、同じ曲を演奏する感覚に近い。

MBOが個人の評価に重きを置くのに対して、OKRは「チームシナジー」を重視する。
個人のギターソロより、バンド全体のグルーヴを大事にするんだ。
HRMシステム上でも、OKRの進捗はリアルタイムで可視化できる。
数値だけじゃなく、コメントや称賛もトラッキングできる時代だ。


■ 評価は「査定」ではなく「対話」だ。

ここが一番勘違いされやすいポイントだ。
評価を“点数付け”としか捉えていない企業は、たいてい成長が止まる。
なぜなら、点数をつけた瞬間に「線」が切れるからだ。
本来の評価は、「成長の物語」を共に描く作業。
評価面談は、「反省会」ではなく「次のアルバム会議」なんだ。

評価を伝える時、俺はいつもこう言う。

点数より、どんなリフを刻みたいか話そうぜ。

評価の目的は罰することじゃない。
人を燃えさせることだ。
HRMシステムの画面に数字が並ぶのは仕方ない。だが、
その数字の奥に「人の鼓動」が見えないと意味がない。


■ バンドとしての組織、ソロとしての個人

人事評価には、もう一つの永遠のテーマがある。
「個人」と「組織」のバランスだ。
たとえば、あるギタリストが突出して上手い。
だが、バンド全体の調和を崩すほどソロが長い。
評価としては高い?低い?――ここが難しい。

だからこそ、HRMの世界では「行動評価(How)」と「成果評価(What)」の両輪が使われる。
どんな結果を出したか(What)だけでなく、どうやって出したか(How)も見る。
「実力」+「姿勢」でトータルスコアを出す。
この仕組みを整えることで、スターもリズム隊もフェアに輝ける。


■ HRMシステムがもたらす“評価の透明化”

クラウド型HRMシステム(たとえばWorkday、SAP SuccessFactors、カオナビなど)は、
今や評価の“可視化エンジン”になっている。
リアルタイムに進捗を共有し、コメントを残し、
上司・部下の面談履歴もデータとして蓄積される。

だが、ここで注意したいのは「テクノロジーは感情の代替ではない」ということ。
HRMシステムはあくまで“アンプ”だ。
入力(人間の想い)が歪んでいれば、出力(評価結果)もノイズになる。
ツールはあくまで補助。魂を込めるのは人間の仕事だ。


■ 「評価される側」から「評価を創る側」へ

若手社員によくこう言われる。
「部長、正直、評価が怖いです。」
俺は笑って答える。

怖いのは、“他人に決められる人生”のままでいることだ。

評価は、他人から与えられるものじゃない。
自分の行動で“創る”ものだ。
MBOもOKRも、結局は「どんな自分を目指すか」を言語化するツールに過ぎない。
だからこそ、俺は若手たちにこう伝える。

評価ってのは、“自分をプロデュースするリリースノート”だ。

自分の強みを知り、課題を見つけ、次のチャレンジを自ら宣言する。
それを積み重ねた人間が、最終的に“信頼されるプレイヤー”になる。


■ 結論:評価とは「音の共鳴」だ。

組織とはバンド。評価とは音合わせ。
それは上司のためでも、システムのためでもなく、
「共に鳴らす」ためのプロセスだ。

良い評価制度とは、社員を順位で並べるものではない。
それぞれの音が響き合い、全体のサウンドが厚くなる仕組みだ。
そこにHRMシステムが加われば、演奏の透明度は上がる。
だが、最後のチューニングを決めるのは人間の心だ。

俺たちロックな人事は、今日も考える。
どうすれば、評価が“恐怖”ではなく“希望”になるか。
どうすれば、人が評価に“縛られる”のではなく“羽ばたける”か。

答えはシンプルだ。
評価とは「採点表」じゃなく、「次のライブのセッティングリスト」だ。
そう思えた瞬間、組織の音は変わる。
そしてその瞬間こそが、人事の本懐。
魂の共鳴点なんだ。


ロックな人事部長より:
評価で人をジャッジするな。評価で人を奏でろ。
今日も誰かの“音”が、明日を変える。

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この記事を書いた人

第二次ベビーブーム/団塊ジュニア/就職氷河期一期生

サラリーマン時代の最高年俸は2000万円。
現在は複数の会社役員として活動中。
業績不振企業の再建で半期に2億円の収益改善を達成。給料を下げない「戦略的ジョブホッパー」として転職・出向を重ね独立。

新型コロナ期にオンライン転職相談を実施し、3桁超のカウンセリングを担当。

求職者支援と企業コンサルの双方に対応できることが強み。

経験企業:一部上場企業からベンチャーまで
経験事業:製造、小売、コンサル、医療、金融、広告、システム開発、リサーチ、モバイル、通販、メディア運営、ウェブベンダー
経験職種:営業・開発・マーケティング・コンプライアンス・経理・人事総務・経営企画・取締役

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