俺たちの「退職」ブルース

ようこそ、ロックな人事部長Lo_Guy(ローガイ)の語り部屋へ。
今日のテーマは「退職」だ。

実はこのテーマを書くときに、経営者視点になるべきか、就業者視点になるべきか、大いに悩んだんだ。現状の俺は、立場も仕事先のカウンターパートも経営者だから、正直言ってその視点のほうが語りやすい。だけど退職というテーマでは、最近話題の退職代行にも触れざるを得ない。。。となると経営者視点だと語れる内容に制限が出てしまう。

このコラムのコンセプトは言いたいことを言いたいように言う、ロックな姿勢。そこを改めて認識した俺は、個人の視点で書くことを決めた。なにせ俺自身、退職ノウハウに関してはコラムに書けないようなことも含めてたっぷり持っている張本人なのだから。このあたりの具体的な話は、別の機会に紹介しようと思う。
今回一番言いたいことは、最後の最後にとってあるから、しっかり読み進めてもらえると嬉しい。

目次

イントロ:退職は人生の転調だ

退職と聞いて、「暗い響きだな」と眉をひそめるやつもいるかもしれない。
けれども俺に言わせりゃ、退職はバンドで言えば転調の瞬間だ。
同じコード進行を延々繰り返してても、リスナーは飽きるし、演奏してる本人だって魂が痺れてこない。
時にはドラムがブラストビートを叩き、ギターが轟音を鳴らして、流れを変えていく必要がある。

退職ってのは、まさにその「流れを変える」儀式なんだ。

第1章:辞めるのは悪じゃない

日本の会社員文化ってやつは、長いこと「辞める=悪」みたいな空気が漂ってた。
石の上にも三年。根性。気合い。会社は家族。そんな言葉が飛び交う昭和の残響。

でもな、俺は声を大にして言いたい。
「辞めるのは悪じゃない」。

だってそうだろう?
ライブハウスでギター弾いてても、ステージが崩れそうになってきたら、そこに居続けるのは危険だ。
観客を守るためにも、次のステージへ移るのは自然な判断。

会社だって同じだ。
合わなきゃ辞めていい。
次の場所を探せばいい。
そもそも、会社ってのは「契約」であって「監獄」じゃない。

第2章:退職代行という新しいリフ

さて、最近ネットを騒がせている「退職代行」について触れておこう。
みんなも一度はSNSで見たことあるだろう?

「会社に行かずに辞められる!」
「上司に会わずに退職できる!」
「LINE一本で辞められる!」

まるで深夜の通販番組みたいなキャッチコピーが並ぶ。
実際、Googleトレンドで調べると、2018年頃から検索がぐっと増えて、その後はずっと高止まり。
2020年のコロナ禍でリモートワークが広がった時期に、さらに話題になった。

退職代行サービスの利用者の声をネットで拾うと――

自分では上司に言い出せなかったけど、すぐ辞められて助かった

心の負担がなくなった

もっと早く使えばよかった

こんなポジティブな声がある一方で、反対意見も熱い。

社会人なら自分で言うのが筋だろ!

逃げ癖がつくんじゃないか?

こんなサービスが必要な会社自体が異常なんじゃないか?

賛否両論、まさに大論争だ。
でも、俺はこう思う。
退職代行が流行るってことは、それだけ“辞めたいのに辞めにくい職場”が多いって証拠だ」ってな。

第3章:俺が人事部長として見てきた退職劇

俺が人事部長を長くやっている中で、退職にまつわるドラマは山ほど見てきた。

1.円満退職の美学

きちんと引き継ぎをして、後輩に仕事を託し、上司に感謝の言葉を残して去る。
これはもう、ラストライブで「アンコール!」と拍手されながら去っていくギタリストみたいなもんだ。
観客(同僚)も惜しみ、ステージ(会社)も輝きを増す。

2.修羅場退職の轟音

「今日で辞めます!」と机を叩いて出ていったやつもいた。
残された側は混乱するが、本人にとっては解放の叫びだったんだろう。
音楽で言えばノイズロックだな。荒々しいが、それも一つの表現だ。

 3.消えるように辞める者

連絡がつかなくなり、制服や社員証が宅配便で返ってくる。
まるでツアー途中で姿を消したベーシストみたいな存在。
残念だが、それもまた現実の一部だ。

第4章:退職を引き止める側の心理

人事部長として本音を言おう。
辞めたいと告げられた時、最初は正直「痛い」んだよ。
特に優秀な人材ならなおさらだ。
だが、そこで引き止めるか、潔く送り出すか ― その判断は会社の器を試される瞬間でもある。

ブラックな会社ほど引き止めに必死になる。
「君がいないと困る」
「今やめたら裏切りだ」
「再就職先なんてないぞ」

まるで恋人の別れ話を引き止めるダメ男のセリフだ。
逆に健全な会社なら
「君の選択を応援する」
「また縁があれば一緒にやろう」

と言って、背中を押す。

そう、退職は別れであると同時に、「未来の再会への布石」でもあるんだ。

第5章:退職代行と音楽シーンのシンクロ

退職代行の流行を見てると、俺は90年代のインディーズ音楽シーンを思い出す。
当時、メジャーのレコード会社に媚びなくても、自分たちでCDを作り、ライブハウスで売り、インディーズで活動できる道が開けていった。

退職代行も同じだ。
従来の「会社に頭を下げて辞めさせてもらう」というメジャー路線から、
自分の意思で辞める」というインディーズ精神に切り替わったようなもんだ。

ネット社会がその背中を押した。
SNSで「退職代行使った!」と呟けば、「俺も!」「私も!」と共感が集まる。
孤独だった退職が、シェアされることで勇気に変わった。
これは大きな文化の変化だ。

第6章:退職に悩む君へのメッセージ

最後に、このコラムを読んでいる君に伝えたい。

もし今、「辞めたいけど言えない」と悩んでいるなら、
まず自分の心に正直になれ。

退職は敗北じゃない。
退職は転調だ。
退職は人生のリフレインを変える行為だ。

そして、辞める理由は“自分の未来”でいい。
「上司が嫌いだから」でもいい。
「もっと稼ぎたいから」でもいい。
「なんとなく違う気がする」でもいい。

理由なんて、人間の数だけある。
大事なのは、自分の音を止めないことだ。

アウトロ:俺たちの退職ブルース

人事部長として俺が願うのはただひとつ。
どんな辞め方をしたっていい。
ただし、自分の人生の主役は自分自身だってことを忘れるな。

退職はゴールじゃなく、次のステージへのイントロだ。
アンコールはまだまだ続く。
そのリフを鳴らすのは、他でもない君自身なんだ。

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この記事を書いた人

第二次ベビーブーム/団塊ジュニア/就職氷河期一期生

サラリーマン時代の最高年俸は2000万円。
現在は複数の会社役員として活動中。
業績不振企業の再建で半期に2億円の収益改善を達成。給料を下げない「戦略的ジョブホッパー」として転職・出向を重ね独立。

新型コロナ期にオンライン転職相談を実施し、3桁超のカウンセリングを担当。

求職者支援と企業コンサルの双方に対応できることが強み。

経験企業:一部上場企業からベンチャーまで
経験事業:製造、小売、コンサル、医療、金融、広告、システム開発、リサーチ、モバイル、通販、メディア運営、ウェブベンダー
経験職種:営業・開発・マーケティング・コンプライアンス・経理・人事総務・経営企画・取締役

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