オフィスカジュアル論 ー ネクタイを外しても、魂まで緩めるな

どうも、“ロックな人事部長”ことLo_Guyだ。
今日のテーマは「オフィスカジュアル」。
この言葉ほど、会社員たちを戸惑わせているファッションワードも珍しい。

カジュアルってどこまでOKなんですか?

スニーカーって、いいんですか?

社長がTシャツで来たから真似したら、怒られました


――人事として長年この質問を浴び続けてきた俺には、まるで無限リフレインのように聞こえる。でもな、俺は言いたい。
オフィスカジュアルとは、“自由”と“信頼”のバランスを測るステージ衣装だ。
つまり、「会社というステージに立つ、自分というバンドマンの衣装選び」なんだ。

目次

ネクタイの呪縛からの解放 ― ビジネスの自由化宣言

昔の職場は、スーツ・ネクタイが絶対だった。
夏でも汗だくでジャケットを着て、「これが社会人の証」なんて言われていた。
だが、平成後期から令和にかけて、多くの企業がドレスコードを緩めた。
「クールビズ」や「ビジネスカジュアル」という言葉が広まり、
今では「オフィスカジュアル」が主流になった。

だが、ここに落とし穴がある。
“自由”を与えられると、人は“境界”を見失う。
ドレスコードがない=好き勝手していい、ではない
自由には責任が伴う。ロックも同じだ。
ギターソロでどれだけ暴れても、曲のキーは外すな。
オフィスカジュアルも同様で、どんなにラフでも、ビジネスの“トーン”は守る。

基本構成:上品×清潔×適度な抜け感

さて、まずは“基本構成”をおさらいしよう。
俺が新人研修で話す「オフィスカジュアル三原則」はこれだ。

  1. 清潔感(見た瞬間の印象がすべて)
  2. 上品さ(品格のないカジュアルはただの私服)
  3. 場の調和(職場の温度に合わせるセンス)

スーツを脱いだ瞬間、服装には“人格”が出る。
清潔なシャツ、シワのないパンツ、サイズ感の合ったジャケット。
それだけで印象は180度変わる。
逆に、襟がヨレたポロシャツ、毛玉だらけのカーディガン、
靴のかかとを踏み潰したスニーカー……
これでは、どんなに有能でも「だらしない人」に見られる。ロックに例えれば、いくらギターが上手くても、
ステージに立つときに弦が錆びてたらアウトだ。
見た目の“チューニング”ができていない演奏者に、誰が信頼を寄せる?

男女別:ベーシックなスタイルの黄金比

男女別に、現場で“ちょうどいい”バランスを整理してみよう。

●男性編

  • シャツ:白・ブルー・グレーなどのベーシックカラー
  • ボトム:チノパン、スラックス。デニムは濃紺でノーダメージなら可
  • 靴:レザーシューズ、ローファー。スニーカーはシンプルデザイン限定
  • ジャケット:季節に応じて、軽めのブレザーやカーディガンも◎

NG例としては、Tシャツ1枚、サンダル、派手なプリント、膝の破れたデニムなど。
それ、休日のフェスならOKだけど、オフィスのステージには不協和音だ。

●女性編

  • トップス:ブラウス、ニット、カットソー(露出は控えめに)
  • ボトム:スカートやスラックス。丈感と透け感には注意
  • 靴:パンプス、ローファー、シンプルなフラットシューズ
  • アクセサリー:音量(=存在感)は控えめ。小さなピアスくらいがベスト

ここでのポイントは、「TPO(Time, Place, Occasion)」のバランス。
オフィスは“ライブハウス”ではない。
ステージの照明を意識するように、会社の空気を読むのもセンスの一部だ。

素材と色で印象をコントロールする

たとえば同じネイビーでも、素材によって印象は全く違う。
ウールならフォーマル、リネンなら軽快、コットンなら親しみやすい。
服って、質感がメッセージなんだ。

色も同じ。
ネイビーやグレーは「信頼感」、ベージュや白は「清潔感」、
黒は「締まり」だが、やりすぎると「近寄りがたさ」を演出してしまう。

俺のおすすめは、「ベースに落ち着いた色、アクセントに一点だけ個性」
たとえばネイビーのジャケットに、深いグリーンのネクタイ。
または白シャツに、腕時計で金属のアクセントを効かせる。
音楽で言えば、メインリフの後ろで鳴るサイドギター。
派手じゃないが、全体の完成度を支える大事な“音”だ。

“香り”と“靴”は、サイレントメッセージ

人事部長として、多くの面接や会議をこなしてきた。
その中で確信したのは――香りと靴は人格を映す。

柔軟剤の香りが強すぎる人、香水をふりすぎる人。
どちらも悪気はないが、距離を感じさせる。
逆に、ほのかに香る清潔さは「心地よさ」を伝える。
ロックで言えば、ベースラインの音量調整。
出しゃばらず、しかし確実にグルーヴを生む。

靴も同じだ。
ピカピカでなくていい。でも汚れていてはダメだ。
靴は地面との接点、つまり“現実と理想の境界”だ。
そこを雑に扱う人は、仕事も現実逃避しがちだ。
俺はそういう社員を何人も見てきた。

オフィスカジュアルの本質:信頼のデザイン

本来、オフィスカジュアルとは「相手を不快にさせない自由」だ。
服装は自分のためだけでなく、相手の安心をデザインする行為でもある。

たとえば取引先との打ち合わせ。
あなたが少しラフな格好で行くことで、相手が話しやすくなることもある。
逆に、だらしなさが目立てば「仕事もルーズそう」と思われる。
服装の目的は“自己表現”ではなく、“相手への敬意の可視化”なのだ。

これは音楽で言えば、観客の空気を読むのと同じ。
ロックでも、観客が静まり返っているのに全力でシャウトしたら空気が壊れる。
だが、そこにアコースティックで一曲挟めば、全体の緩急が生まれる。
つまり――服装は“コミュニケーションのアレンジ”なんだ。

社内のドレスコード文化を見極める

ウチの会社は何が正解ですか?


この質問、よくされる。
俺の答えはいつも同じだ。

“まずは先輩社員の服装を観察しろ。
そして、「少し上品」に寄せろ。”

つまり、“社風+5%の上品さ”がちょうどいい。
上司がカジュアルなら、あなたは少しフォーマルに。
上司がフォーマルなら、あなたは少し軽やかに。
この調整力こそ、社会人のセンスだ。

社内ルールに「清潔感」「節度」「常識的範囲」とだけ書いてある場合、
これは「自分で考えろ」というメッセージ。
判断力のトレーニングだ。
それを見抜けないと、“自由”を持て余す。

リモートワーク時代の服装マナー

Zoom会議が当たり前になった今、上半身だけ整える人も多い。
だが、カメラの向こうにいる人は、あなたの“姿勢”を見ている。
下がパジャマのままでは、なぜか上半身の動きにもだらけが出る。
不思議なもので、服装は“内面を律するスイッチ”でもあるんだ。

俺自身、在宅勤務の時もシャツを着る。
「誰も見てないのに?」と聞かれるが、
見てるんだよ――自分自身が。
自分がダラけた服で働いていたら、人事部長の看板が泣く。
ロックでも同じ。
リハでも全力を出すバンドは、ライブで輝く。

個性は“装飾”ではなく“構成”で出せ

オフィスカジュアルで個性を出したいなら、派手な色や奇抜なアイテムではなく、
自分らしい構成」で勝負することだ。

たとえば、

  • 毎日同じ型の白シャツを着て“ミニマリズム”を貫く
  • 靴下や時計で小さな遊び心を添える
  • 季節ごとに素材感で変化を出す

個性とは「目立つこと」ではなく、「一貫していること」だ。
それが積み重なって“信頼のスタイル”になる。
ロックでも、奇抜な格好をしただけのバンドより、
音で自分を語るバンドが長く愛される。

結論:自由の中に、敬意を。

最後に言わせてくれ。
オフィスカジュアルの本質は、“自由”でも“規制”でもない。
それは「敬意」と「責任」のスタイル化だ。

誰かが言った。

ネクタイを外した瞬間、社会は変わり始めた」と。

だが俺はこう言いたい。

ネクタイを外しても、魂まで緩めるな」と。

服装の自由化は、仕事の多様化の象徴だ。
だけど、自由を楽しむためには、節度という“リズム”が必要だ。
それを外せば、ただのノイズ。
だが、節度の中で自分を表現できる人こそ、真のプレイヤーだ。

オフィスは日常のステージ。
今日も俺たちは、スーツのかわりに“自分らしさ”を着て働く。
そして、こう締めくくろう。

「ドレスコードなんて、恐れるな。
スタイルこそ、お前のサウンドだ。」

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この記事を書いた人

第二次ベビーブーム/団塊ジュニア/就職氷河期一期生

サラリーマン時代の最高年俸は2000万円。
現在は複数の会社役員として活動中。
業績不振企業の再建で半期に2億円の収益改善を達成。給料を下げない「戦略的ジョブホッパー」として転職・出向を重ね独立。

新型コロナ期にオンライン転職相談を実施し、3桁超のカウンセリングを担当。

求職者支援と企業コンサルの双方に対応できることが強み。

経験企業:一部上場企業からベンチャーまで
経験事業:製造、小売、コンサル、医療、金融、広告、システム開発、リサーチ、モバイル、通販、メディア運営、ウェブベンダー
経験職種:営業・開発・マーケティング・コンプライアンス・経理・人事総務・経営企画・取締役

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